ロンドンで暮らすマキオくんこと、エディター・関根麻貴と、東京で暮らすへねちんこと、ニームツリー・マガジン編集長・羽田朋美の往復書簡。
▶︎▶︎▶︎前回はこちら 往復書簡 LONDON⇄東京 vol.15 | 羽田朋美
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へねちん
前回は素敵な手紙をありがとう。
その前にもラインで再三やりとりしていたけれど、書簡ではその悔しさがより伝わってきたよ。だって忙しい中、2年ストップしていたこの連載を復活させちゃうくらいだからね!
どうにもならない悔しさを噛みしめつつも、へねちんからの祝福を大いに受け取った出来事でした。
あれから早くも2ヶ月だって! すっかり年末の空気だよね。私は怒涛の10月が終わり、やっと落ち着いてきたところでBenがコロナ陽性になって家庭内別居。私はずっと陰性だったものの、珍しく体調を崩したりなんかして、11月もあっという間に過ぎてしまった・・というわけでひと月前から書いていたこの返事も、やっとまとめられるよ。
結婚式前後は、家族と友人を迎えて、忙しくも楽しい2週間だった。
最初は、式は二人だけで済ませればいいや、くらいに考えてたけど、みんなと一緒にいい時間を過ごせたし、祝福を受けるっていいものだね。幸せが倍増した気がしたよ。なんならもう一回やりたいくらい。笑
へねちんも体調不良の中、リモート参列してくれてありがとう。
当日、席が空いていたのはやっぱり寂しかったし(正直いまだに悔しい)、式のあとのセレプションも、ちょっと人見知りな私の姪っ子とはねちゃんが絡む様子を想像して、ニヤニヤながら席を決めたりして・・それが見られなかったのはやっぱり悔しいんだけどさ(しつこい)。
画面越しでもリアルタイムで式を見てもらえて嬉しかった。
来られないとわかって、写真を送るよとは言ったものの、へねちんとその時その場の空気を共有したいと思ったんだよね。
※余談:実を言うとその姪っ子も、初イギリスにはしゃぎすぎたせいか当日に発熱し、欠席だったという・・。
ここ最近は、わりと何が起こっても「うん、そうか」と受け入れられていたから、今回のことで自分にいまだに悔しい!と感じる、熱というか、欲があるんだなぁと気づいた。
出発予定前日に次男くんが発熱したと聞いたとき、なんとなく大丈夫って気がしつつも、百万が一に陽性でも状況を素直に受け入れようと思ってたの。
でもいざ陽性判定が出て、来れないとなったとき、「なんでだよー!」って悔しさ? 信じられなさ? がこみ上げてきた。
実はさ、その少し前にはねちゃんが投稿してた、三男坊が牧場にあった羊のフンが嫌で泣きじゃくった話があったでしょう? 読んだときに「そうそう感情出すの大事!」と共感していて、それがしばらく頭に残ってたの。
それが、気持ちを素直に出すっていうことを思い出させてくれたのかな。
(知ってることでも、意外と忘れてるんだよね。そして忘れたタイミングでこうやって何かしらがリマインドしてくれる。)
やっぱりね、へねちんとまあこ(夫)が来られていたのがベストだったの、私には。
来られなかったことで我々の関係について振り返ってみたり、有り難みを感じたり、得たものもあるけれど・・
やっぱり出席してもらえるのが一番だよね!
この残念な気持ちはきっとずっと変わらないと思うし、それはそのまま持っておこうと思ったよ。無理によしとしないで。
この書簡、ずっと書いてはいたものの何か足りない・・と思い返信できなかったんだけど、そう、これが書きたかったのだ。嬉しさとか楽しさと同じように、悔しさや残念だった事実もそのまま素直に感じておかないとね。
すごーく俯瞰して見てみたら、それが人生の醍醐味でもあるように思うのよ。喜怒哀楽ぜんぶ味わう。
それでさ、前回の書簡を読みつつ私も我らの歴史を振り返ってみたんだけど。
はねちゃんの言うように、私たちってべったりしてないけどもはや20年にも及ぶ付き合いで、そして年単位で連絡のない時期も何度かあったけど、ブランクがあっても昨日会ったみたいに会話できるという信頼感?のようなものがあって。
20代の頃はお互い悪態をつくようなキャラクターだったから、気が合ったのはわかるけど(前回載せてくれた写真たちよ。笑)、今や東京とロンドンだし、趣味もほとんどかぶってないし、私は子どもがいるわけでもないし・・・共通点がほぼないのに、不思議よね。
でもそう考えると、人との繋がりって、どれだけ一緒に過ごすか、どれだけ似ているかではないんだなあと感じるよ。
そして逆はまったく思い出せないのだが、私は節目節目ではねちゃんにだいぶ助けられてきている。
ほぼ初対面くらいの段階で、結婚前提で同棲してた彼から家出しているという話をしたし、長年付き合っていた彼が他の女の子と海外旅行しているのを突きとめた時は、まずはねちゃんに電話した。(このときはショックよりも自分の勘が冴え渡ってることに驚き、半笑いで話したのを覚えてる。)
子どもたちもまだ小さいし、モーレツに仕事してた時期だったのに、すぐに時間をとって話を聞いてくれたよね。
その後も、身も精神もボロボロになった私が、仕返ししてやりたい的なことを言ったとき、「辛いのは本当によくわかる。でもそれをしたら駄目。いずれ自分にかえってきちゃうよ」と諭してくれたことが、それからの流れをよくしてくれたと思ってる。
振り返ればほんとうに、ご面倒をおかけしました!って感じだね、私。
今回のリベンジでむらやま家族がロンドンに来るか、私たちが帰省するか、まだどのタイミングかはわからないけど、次に会えるときは、Benからもお礼を言わせていただくよ。
練習したというカタコトの英語のお祝いの言葉もぜひ聞きたいわ。
私ももちろんいまだにカタコトだけどね。
この前なんて真面目な会話中、Constitution(憲法)と間違えてConstipation(便秘)と言っちゃって、Benが笑いを噛みころしつつ指摘してくれたよ。
でも爆笑しないところが、紳士よね。
この手の話は山ほどあるから、次の再会で。
最近はますます、ごはんが美味しいとか、紅葉がきれいとか、ちょっとしたことに幸せを感じる生活を送っているよ。喜ぶポイントが、子どもの頃に還ったような感じ。
人って、ハッピーに生きるのにそんな大層なものは要らないんだなぁと思った。
こちらは最近-2℃~2℃というなかなかの寒さ!今日は雪が降ったよ。
へねちんはまたまたモーレツに忙しそうだから、体調に気をつけて、素敵な年末年始を過ごしてね。
2022年12月13日
マキオ
PROFILE
関根麻貴
ファッションエディター/ライター/ディレクター。主な仕事に雑誌『装苑』『FUDGE』『KINFORK』、多数のブランドムック、英国ブランド『MARGARET HOWELL』『SUNSPEL』の日本版カタログ制作など。2019年春よりロンドン暮らしをスタート。東京でもロンドンでも生活は変わらず、ひとり気の向くまま過ごす日々。趣味は写真、映画、アート、コンテンポラリーダンス観賞、旅、ヨガ。モットーは「人生は全部ひまつぶし」。真面目に、全力でひまをつぶしています。
【Instagram 】sekinemaki
【note】https://note.com/makisekine/m/m48fb72d934d5
羽田朋美
6歳・8歳・11歳の三兄弟の母、編集者。大学卒業後、教職と迷いながらも雑誌編集者の道を諦めきれず、60 社の入社試験を受けて全て落ちたのちの最後の一社である編集プロダクションに「執念」の入社。アイドル誌の編集、アイドルの写真集の編集に携わる。2001年よりローティーン誌『ラブベリー』(徳間書店)編集部勤務。深夜帰宅・徹夜が当たり前の過酷な日々であったが、充実した雑誌編集者ライフを送る。2004年より同誌副編集長・編集長を歴任。2010年長男を出産し、産後2ヶ月で「執念」の職場復帰。ママ雑誌発刊への夢を膨らます。2011年、ママ雑誌『Neem』を企画。2012年2月、同誌を立ち上げ編集長に就任。2013年4月、徳間書店を退社。編集チーム「Neem Tree」を設立。趣味はキャンプと家族旅で、タイ、スリランカ、ボルネオ島など自然豊かな地を巡る。
【Instagram】murayama_tomomi0716
【blog】https://ameblo.jp/tmm07160102/