往復書簡 LONDON⇄東京 vol.1|羽田朋美

ロンドンで暮らすマキオくんこと、エディター・関根麻貴と、東京で暮らすへねちんこと、ニームツリー・マガジン編集長・羽田朋美の往復書簡

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へろー、へねちんだよ(おなじみのゆるい挨拶をここでも)!

去年12月にマキオくんが一時帰国したとき、ニームツリー・マガジン立ち上げ前に、LONDON⇄東京往復書簡やりたいね!って、IVY PLACEでマキオくんはサンドイッチを、私はメカジキのステーキを食べながら話していたんだよね。

メカジキステーキ、最近食べてないや!

あの頃はロンドンの暮らしとかカルチャーを中心に、社会や政治の話題も混じえながらマキオくんらしい視点で発信してもらえたら素敵だな、と思っていたのだけど、実際にスタートするときには、まさか世界中がこんな状況になっているとはね。

3月19日に互いの状況を電話で話して、マキオくんの元気そうな声を聞けて安心したのも束の間、直後に「あのあとまた状況変わって、イギリスもロックダウンするみたい」ってLINEもらったでしょ。それですごくびっくりしたんだけど、続く「帰ったらBenが私のオレンジジュース勝手に飲んでたよ」という、相変わらずマイペースで、ちょっぴり怒りっぽい、お宅の大家兼フラットメイトネタを読んですっかり安心しきったというか。いや、安心しきったというよりは、事態の深刻化やロックダウンの不安をかき消すために、ぶっ飛びメガネおじさんBenのオモシロ話に飛びついた……という方が正しいかな。

あれから数日で、ここまで状況が悪化するなんて思ってもいなかったよ。

世界の感染者が40万人超って!
毎日本当にたくさんの人びとが亡くなられて、スペインでは死者急増でスケート場を遺体安置所にしたとか、北部イタリアの医療崩壊の話とか。本当に、目を背けたくなるくらいつらいニュースだね。
遠い海の向こうの出来事だなんて、到底思えない。

3月23日夜から始まったイギリス全土でのロックダウンから3日経ち、そちらはどんな感じなのかな。食品と薬品を入手する目的での外出はOKだったり、1日1回に限り単独で運動に出ることも許可されていると聞いたけれど、実際に外出している人はどれくらいいるものなの?
マキオくんは、1日をどう過ごしているのかな。

今回、このタイミングでの往復書簡スタートを提案したときに、マキオくんは「家に籠ってみて、人ってこんなに不安定なものなんだなぁと実感しているところで、書くことは自分の癒しになるしそれを読んでもらえるなんて何と有難いことか」と返事をくれたけれど、やっぱり、活動が制限されれば、気持ちもくすぶってくるよね。
今は東京もまだ、今週末の外出自粛要請にとどまっているけれど、このまま感染拡大が進めば、当然ロックダウンの道を辿ることになるだろうから、ロンドンの状況や、今マキオくんが感じていることをぜひ聞きたい。

一週間遅かったら、自粛要請で行けなかったなぁって。タイミングよく自然の中に身を置けて、よかったよ

先週の三連休にね、4家族で富士山の近くまでキャンプに行ってきたの。休校措置で籠もりがちな子どもたちがのびのびと駆け回る姿を見て、本当に行けてよかったと思ったよ。
大人も、すごいリフレッシュになってね。
改めて自然の力ってすごいなーって。

富士山バックにカヌー乗ったり。3人親子に見えるけど、みんな別家族。このごちゃ混ぜ感が楽しい(笑)

おいしいもの食べたり、楽しくお酒飲んだり、好きな服買ったり……ありとあらゆる娯楽をもってしても、これほどまで癒されることはないと断言できるくらい、自然の癒しは絶大だね。
そして、自然はこんなにも私たち人間を癒してくれているのに、私たち人間はそれに反して自然を壊すことを繰り返してきたことを思い、愕然としたよ。

夜は真冬並みの寒さになったけれど、焚き火の時間が幸せだった!

この間の経済活動の停滞で中国のCO2排出量が大幅に減って大気汚染が劇的に改善されたり、観光客の出すゴミがなくなってベネチアの運河の水が澄んだりしていることが報道されたじゃない。ニューズウィーク日本版オフィシャルサイトには、「中国の大気汚染の改善で、最大8万人弱の生命が救われたと推定」なんて記事も掲載されていて。マキオくんとの電話でも話題になったけれど、地球の自浄作用、本当にすごいね。
そうやって息を吹き返して、今度は人を癒す。
なんて壮大なんだろうね。
一方で、突然人生を断ち切られた新型コロナの犠牲者と遺された人びとのことを思うと、言葉が出ない。地球がこんな状況になるまでに、私たちにできることはもっとあったんじゃないかとか、ぐるぐる考えてしまう。
これから生活が立ち行かなくなる人が世界中に溢れることも心配。
地球環境と、社会生活と、世界経済と。
改めて、私たちはそのはざまで生きていることを痛感するよ。

停止していた社会的・経済的活動が元どおりになれば、地球環境もまたすぐに以前の状態に戻ってしまうということだけど、地球環境が元の良くない状態に戻る限り、再び自浄作用が働いて、何かをきっかけにして、また地球が休息する状態を作り出すのではないかと。
たとえそれが、今回の新型コロナウイルスのように、人類にとって脅威となるようなものであったとしても……。

あー、もう深夜2時。
尻切れとんぼ感は否めないけれど、また次回に!

追記
トップ画像の桜は、先ほど近所の公園で撮影してきたもの。土日は外出自粛要請だし、雨模様だから今のうちに……と、まぁこ(夫です ※読者様向け)と散歩がてら3分花見してきたよ!

2020年3月26日(金)午前1時50分 へねちんより

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PROFILE

羽田朋美
3歳・5歳・9歳の三兄弟の母、編集者。大学卒業後、教職と迷いながらも雑誌編集者の道を諦めきれず、60 社の入社試験を受けて全て落ちたのちの最後の一社である編集プロダクションに「執念」の入社。アイドル誌の編集、アイドルの写真集の編集に携わる。2001年よりローティーン誌『ラブベリー』(徳間書店)編集部勤務。深夜帰宅・徹夜が当たり前の過酷な日々であったが、充実した雑誌編集者ライフを送る。2004年より同誌副編集長・編集長を歴任。2010年長男を出産し、産後2ヶ月で「執念」の職場復帰。ママ雑誌発刊への夢を膨らます。2011年、ママ雑誌『Neem』を企画。2012年2月、同誌を立ち上げ編集長に就任。2013年4月、徳間書店を退社。編集チーム「Neem Tree」を設立。趣味はキャンプと家族旅で、タイ、スリランカ、ボルネオ島など自然豊かな地を巡る。
【Instagram】tomomi_26_tree

関根麻貴
ファッションエディター/ライター/ディレクター。主な仕事に雑誌『装苑』『FUDGE』『KINFORK』、多数のブランドムック、英国ブランド『MARGARET HOWELL』『SUNSPEL』の日本版カタログ制作など。2019年春よりロンドン暮らしをスタート。東京でもロンドンでも生活は変わらず、ひとり気の向くまま過ごす日々。趣味は写真、映画、アート、コンテンポラリーダンス観賞、旅、ヨガ。モットーは「人生は全部ひまつぶし」。真面目に、全力でひまをつぶしています。
【Instagram 】sekinemaki 
【note】https://note.com/makisekine/m/m48fb72d934d5